社会|人権・労働慣行

DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の尊重

DE&Iの推進

当社グループには、1931年の創業から、1988年の米国ファイアストン社の買収などを経て、様々な人財を受け入れ、グローバルで多様性を育んできた歴史があり、ビジョン「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして、社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」と成長していく上で、多様性がますます重要になると考えています。2022年8月に発表した「2030年長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」でも掲げている通り、当社グループの人財戦略は、事業戦略と連動した付加価値創造により、企業価値向上を図ると共に、個人の成功・自信の波及を通じて、多様な人財が輝ける様になることを軸にしており、DE&Iは人的創造性向上、新たなDNA創造とともに「基盤」として、様々な取り組みを加速させていきます。

当社グループは「グローバル人権方針PDF」においても、DE&Iの尊重を重要な要素として位置づけており、「多様性を重んじ、チームワークと敬意を基盤に、全ての人がその能力を最大限発揮できる」よう、公平な機会を提供するという考えを明確化するために「エクイティ(公平性)」を改訂時に加えています。多様な人財が輝けるよう、公平性に関する職場や社会の課題をしっかりと捉え、その改善に継続的に取り組んでいきます。

多様な視点・価値観を採り入れたグローバル経営チームと次世代経営人財育成

当社グループの、執行役および主要事業体・機能の責任者で構成する、事業戦略・執行を統括する最高位の会議体であるGlobal Executive Committee(Global EXCO)においては、13名のうち6名が外国籍のメンバーで構成され、経営上の意思決定に当たり、多様な視点・価値観を採り入れることを尊重しています。さらに、Global EXCOの下で、外国籍メンバーを含むグローバルなメンバーで構成されたコミッティが活動しています。

次世代の経営人財育成に関しては、2020年よりグローバルで毎年約100人(日本:30人、米州:30人、欧州:20人、アジア:20人)を選抜し、各経営報告会議体への参画、海外ビジネススクール研修への参加などを通じて重点育成を図る「Bridgestone NEXT100」の取り組みを開始しています。メンバーの多様性を確保しながら、ブリヂストンDNAである「品質へのこだわり」「現物現場」「お客様の困りごとに寄り添う」「挑戦」をベースに、新たなDNAを創造していくべく、“ブリヂストンらしい”グローバル経営人財の育成に取り組んでいます。

DE&I意識・文化の醸成

当社グループは、事業活動を行う地域別・国別の状況や社会的規範、伝統、法規制などを反映しながらDE&Iを推進する取り組みを進めています。

地域別の取り組み

日本

当社では、女性活躍推進がグローバルの他地域と比較して課題であることを認識し、DE&I推進を人財投資強化やカルチャーチェンジと連動して推進すべく、専任部署としてHRXカルチャーチェンジ・DE&I推進部を設置し、取り組みを実施しています。

DE&I意識浸透・行動促進に向けたワークショップ開催

当社では、DE&I意識・文化の醸成を図る目的で、アンコンシャス・バイアスや心理的安全性をテーマに取り上げたeラーニングを全従業員向けに実施しています。さらに、2022年には、DE&I推進に関する職場全体の理解のために重要な役割を担うライン長(幹部層・管理層)全員を対象に、DE&Iの本質理解と推進への共感・行動を促進する「DE&Iマネジメントワークショップ」を開催しました。2023年以降も、継続して充実化を図っていきます。

フェムテックプログラム導入

当社で働く全従業員がチームワークと敬意を基盤に価値創造に向けて一緒に活動していくためには、相互理解が欠かせないと考えています。その中で、女性は、各ライフステージにおいて、女性ホルモンの影響により様々な健康課題に直面しており、それがパフォーマンスやキャリア形成の阻害要因のひとつとして影響している可能性があると言われています。女性だけでなく当社で働く全従業員が女性特有の健康課題に対して正しい知識の理解・習得をすることを推進するため、2022年から当社の東京・小平地区において、全従業員を対象に女性のカラダを理解するセミナー実施も含め、女性特有の健康課題をテクノロジーを活用し解決するフェムテックプログラムをトライアルで導入しました。また、2023年には全社に展開をしています。これらの取り組みを通じて、誰もがより働きやすく、活躍できる環境整備を進めていきます。

LGBTQに関する取り組み

当社は2021年に、すべての社員が等しく働ける環境を整えるため、同性パートナーも異性との婚姻の場合と等しく、育児休職や介護休職等の制度を利用できるよう一部の社内規程を改訂しました。同年9月には、育児・介護ガイドブックを改訂し、性別のある言葉(例:パパ、ママ)を削除しました。同年末には性的マイノリティの方を理解・支援するAllyの社内コミュニティ活動を開始し、2022年4月に開催された性の多様性を祝福するイベント「東京レインボープライド」にAllyコミュニティメンバーを結成し、参加しました。その他、イントラネットでの情報発信、勉強会や映画上映会なども定期的に実施しています。

上記活動の結果、LGBTQ+が働きやすい職場づくりを日本で実現するための取り組みを評価する「PRIDE指標」において、5年連続で最高評価の「ゴールド」を受賞しています。

米州地域

ブリヂストン アメリカス・インク(BSAM)は、「ワークプレイス」「ワークフォース」「マーケットプレイス」という3つの重点領域からなるDE&Iの戦略を掲げ、各領域において、インクルーシブな職場環境の提供、リーダー・従業員への教育、公平な機会の創出を目指しています。その実現に向けて、2021年と2022年には、DE&Iの基礎的な学習プログラムとしてアンコンシャスバイアス研修を実施し、5,000人以上が参加しました。さらには、アンコンシャス・バイアス研修の二次・発展コースとして、コンシャスコンフリクト研修とエンパシー研修の2つのコースも開始しています。これらの様々な取り組みと進捗については、「DE&Iアニュアルレポート外部リンク」を通じて報告し、透明性向上に取り組んでいます。

  • ワークプレイス
    過小評価されているグループの従業員に対して公平な体験、またすべての従業員に対してインクルーシブな体験を創造する。
  • ワークフォース
    過小評価されているグループの従業員の定着、採用、昇進に注力する。
  • マーケットプレイス
    BSAMのサプライヤーネットワークにおいて、過小評価されているグループと連携して公平性の向上に寄与する事業を行うとともに、私たちが住み、働き、余暇を過ごすコミュニティにおいてより公平な機会づくりを推進する組織を支援する。

BSAMは、2030年に向け、会社全体の従業員の構成(人種やジェンダーなど)をマネジメント層の構成にも反映するよう着実に活動を進めます。この長期目標は、DE&Iを継続的に推進するには数年の期間を要するという認識の下、設定されました。BSAMでは、DE&Iの取り組みの継続性を重視するとともに、短期的・長期的に意義ある成果を達成できるよう取り組んでいます。

DE&Iセンター・オブ・エクセレンスのための組織とリソース

BSAMは、5名の従業員から成る「DE&Iセンター・オブ・エクセレンス」を設立し、会社全体の活動に焦点を当て、事業におけるDE&I戦略・ツール・情報を作成すると共に、DE&I促進のための教育・研修を実施しています。

取締役会の分科委員会は、会社全体のDE&I活動の進捗を監督し、DE&IセンターオブエクセレンスをDE&I戦略の枠組みや活動評価基準に沿って主導しています。

BSAMは、従業員一人ひとりがDE&Iを実現する責任を担っていると考えています。2021年に開始した「Free to Be」運動は、従業員がインクルージョンと自分らしさを発揮することの大切さについて考える機会となっています。今後は、人種や性別の多様性向上、DE&Iのビジネスへの組み込み、さらなる公平でインクルーシブな職場環境づくりに向けて、次の従業員リソースグループを含む従業員からのフィードバックを活かした取り組みを推進していきます。

  • BBOLD:アフリカ系アメリカ人の従業員
  • BWIN:女性従業員
  • BNEXT:リーダー層の従業員
  • BBRAVO:ベテラン従業員
  • BUNIDOS:ラテン系/ヒスパニック系の従業員
  • BPROUD:LGBTQ+の従業員

これらの従業員リソースグループは、共通する特性や人生経験、関心に基づいて従業員と仲間・支援者を結びつけることによって、一体感を高め、BSAMが従業員の違いを理解し尊重するための重要な役割を担っています。それぞれの従業員リソースグループでは、自律的にグループの目的を設定するとともに、地域奉仕活動やボランティア活動、指導や育成の機会提供、ネットワークの構築などのプログラムを実行しています。

また、BSAMは、ナッシュビルのPRIDEフェスティバルのスポンサーを10年以上継続しています。

※ 組織の中で同じ特質や価値観を持つ従業員が主体となって運営するグループのこと

透明性の高い情報開示への取り組みと成果

2022年、BSAMはDE&Iに関する2回目の年次報告書を発表しました。この報告書には、DE&Iの取り組みとその進捗について引き続き透明性を確保するため、2022年におけるBSAMの組織のすべてのレベルおよび機能におけるダイバーシティの状況を示すDE&Iスコアカードも記載しています。近年、すべての階層において女性比率の向上や多様な人種の従業員がより活躍するなど進展が見られるものの、さらなる進歩が必要であると認識しています。このような開示は、長期的で持続可能な進歩を実現するために必要であり、活動の見える化を図っています。

2023年からは、人種と性別の多様性をさらに従業員層に反映することに重点を置いて、様々な活動を実施します。情報提供や経験的学習によるリーダーの教育を継続して実施するほか、お客様との取引を含む事業運営へのDE&Iの組み込み、公平でインクルーシブな職場環境の整備を実施していきます。

米国全土で退職者が増え続けている中、技術系を含む当社の事業運営の要となる分野における継続的な人財確保が潜在的な課題となりうると考えています。BSAMは、この課題を克服するために、人財の維持・育成に注力するとともに、より幅広い層の人財を確保できるよう、過小評価されているグループに重点を置きながら組織との連携の拡大を推進します。

欧州・中近東・インド・アフリカ地域

ブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエー(BSEMIA)は、多様性のある職場環境は、お客様に対する理解が深まると共に、従業員のエンゲージメントが向上し、多様な視点を含む意思決定や革新的なアイデアが、よりよい成果につながると考えています。BSEMIAは、すべての従業員が能力を最大限発揮できるよう、従業員が安心して働ける職場環境づくりに努めています。以下に記載する「従業員リソースグループ」を通じて従業員の参加を促進し、よりインクルーシブな文化を醸成していきたいと考えています。2023年には、性別、勤続、経験の3つに特に焦点をあて、多様性を尊重する活動を推進していきます。

BSEMIAは、次の2つのマイルストンを設定しています。2025年のマイルストンは、間接部門のスタッフに関してジェンダーバランスの取れた雇用を行うこと、2030年のマイルストンは、従業員の構成(人種やジェンダーなど)を管理層や幹部層の構成にも反映するための着実な取り組みを確保することです。DE&Iの持続的な進歩には数年の期間を要するという理解をもとに、これらの長期目標を設定しています。

DE&Iセンター・オブ・エクスパティーズのための組織とリソース

BSEMIAは、DE&Iセンター・オブ・エクスパティーズとして、全社的な取り組みに注力するチームを構成しました。この取り組みには、事業遂行のための戦略、ツール、リソースの創出、DE&Iアジェンダの推進に向けた研修や教育の推進などが含まれます。

2022年に開始した「Free to Be」運動は、従業員がインクルージョンと自分らしさを発揮することの大切さについて考える機会となっています。引き続き、ダイバーシティを高め、DE&Iをビジネスに定着させ、より公平でインクルーシブな労働環境を構築するための取り組みを推進していきます。これらの優先的な事項は、以下の従業員リソースグループを含む従業員の直接的な意見によって実現していきます。

  • BWIN:女性従業員
  • BPROUD:LGBTQ+の従業員

各従業員リソースグループは、共通の特徴、経験、関心事に基づいて共感する従業員同士を結びつけ、BSEMIAにおいて従業員ごとの違いが尊重されるよう支援する重要な役割を担っています。それぞれの従業員リソースグループでは、自律的にグループの目的を設定するとともに、地域奉仕活動やボランティア活動、指導や育成の機会提供、ネットワークの構築などのプログラムを実行しています。

2022年の取り組み・成果と2023年以降の計画

BSEMIAでは、文化的多様性の活用を進めています。国籍や文化的背景に関係なく、現地のエキスパートが多様な国籍・文化を活かした企業を運営するという構想で、過去8年間にわたる議論を経て具現化したものです。現在では、事業を展開する地域のほぼすべての国籍の人々が、BSEMIAの本社や他の拠点で活躍しています。また、啓発とコミュニケーション、人財獲得、人財管理、研修と育成、福利厚生の領域における様々な活動は、BSEMIAのDE&Iの取り組みのさらなる強化や、過小評価されているグループに対する理解とキャリア機会の向上につながっています。

  • Great Place to Workに認定:
    BSEMIAは、2022年に様々な国でTop EmployerやGreat Place to Workに認定されています。
  • ファミリー・レスポンシブル・カンパニーに認定:
    ブリヂストン ヒスパーニャ エスエーは、 家族にやさしい企業に与えられる認証(efr certification)を受けています。
  • 南アフリカにおけるB-BBEE(Broad-Based Black Economic Empowerment:ブラック・エコノミック・エンパワーメント政策):
    ブリヂストン サウス アフリカは、職場におけるアフリカ系の方々の活躍や事業の支援、十分なサポートを受けていないアフリカ系コミュニティへの利益還元などが評価され、B-BBEEの最高ランクの格付けPDFを取得しています。

※B-BBEE:企業に対し、アフリカ系の人財の採用、アフリカ系の事業者によるビジネスの支援を通じて、アパルトヘイト時代に土地接収の影響を受けたアフリカ系コミュニティへの還元を奨励する政策

中国・アジア大洋州地域

ブリヂストン アジア パシフィック ピーティーイー リミテッド(BSCAP)では、「Right Person in the Position with the Right skills(適財適所)」という理念のもと、個人の希望と能力を最大限に引き出し、そのポジションに最適な人財を配置するためにDE&Iの取り組みを進めています。BSCAPは、性別や国籍、経験などの多様性を受け入れ、才能溢れる人財が充実感を得て働けるような職場環境を構築しています。

年1回の「タレントレビュー」での人財に関する分析を活用し、地域やグループ会社ごとに性別、経験、国籍、世代といった多様性の現状を把握し、人財確保に役立てています。また、「従業員エンゲージメント調査」から従業員の意見を収集し、高いパフォーマンスを発揮できる組織風土の醸成を目指しています。

キャリアと成長の機会均等

BSCAPは、意識啓発と教育を通じて、キャリアと人財開発におけるDE&Iを推進しています。BSCAPリーダーシッププログラムにおける女性の比率は2019年から2022年にかけて着実に向上しました。

女性活躍推進に向けた取り組み

当社グループは、価値観がますます多様化していく社会・市場において、お客様の困りごとをお客様以上に理解し、社会価値・顧客価値を持続的に提供していくためには、当社の幅広い事業領域で多様な人財が輝き、そして、組織の意思決定においても、多様性を採り入れることが重要だと考えています。その観点から、事業活動を行う地域別・国別の状況も踏まえながら、女性のエンパワーメント推進、女性リーダー育成を重点的に進めています。

なお、当社グループのセグメント別の女性比率は、2022年12月時点で以下のとおり、グループ合計では前年に比べ着実に増加しています。

女性比率※1 トップ
マネジメント※2
  その他
スタッフ
グループ
全社員計
マネジメントポジション※3 ジュニアマネジメントポジション※4 合計
日本※5 6.1% 4.3% 6.4% 5.3% 13.6% 12.2%
米州 25.5% 23.2% 10.4% 14.8% 12.3% 12.6%
欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ 15.1% 14.6% 18.8% 17.6% 11.8% 12.6%
中国・アジア・大洋州 12.6% 19.0% 23.6% 22.8% 8.7% 9.7%
合計(括弧内は前年数値) 10.7%
(10.4%)
11.6% 12.5% 12.1%
(10.6%)
12.0%
(11.3%)
12.0%
(11.2%)
スクロール
  1. ※1就業人員に基づいた割合を示しています。(データは2022年12月末時点、128,811人(グループ全体の99.4%))
  2. ※2トップマネジメントとは、各社におけるCEO配下の2ポジションまでの従業員(役員含む)を指しています。
  3. ※3マネジメントポジションには、トップマネジメントポジションとジュニアマネジメントポジションを除くすべての管理職を含んでいます。
  4. ※4ジュニアマネジメントポジションとは、組織の日々の管理目標を指導する立場である者を指しています。
  5. ※5「日本」には、有価証券報告書PDFにおける「日本」「その他」「全社(共通)」セグメントを含んでいます。

地域別の取り組み

日本

当社では、女性比率、女性基幹職※1比率について海外拠点と比べてギャップが大きいことを認識し、女性の採用強化、育児との両立支援等の様々なライフステージに応じて女性が自分らしく働き続けるための定着・活躍支援に加え、女性基幹職登用促進にも注力し取り組んでいます。具体的な目標として、当社における女性基幹職比率※2を目標設定時(2020年)の2.3%から2025年までに7.5%にすることを掲げています。2022年12月時点の実績は3.4%となっており、目標の達成に向けて後述のメンター制度をはじめとした各種取り組みを着実に進めています。

  1. ※1当社の女性基幹職とは、ライン長(幹部層・管理層)、スペシャリスト、主査を指しています。
  2. ※2当社の女性基幹職比率の目標及び実績には、当社所属の他社/他地域への出向者を含んでいます。
女性基幹職候補者に対する役員メンター制度の導入

取り組みのひとつとして、2021年に、役員がメンターとなり女性基幹職候補者のキャリア支援を行う役員メンター制度を導入したことが挙げられ、2年間で36名が対象となり、2023年1月までに半数以上が登用されています。

お茶の水女子大学との産学連携による女性リーダー育成支援

当社は、2017年に、国立大学法人お茶の水女子大学と、女性リーダーの育成支援を目的とした包括的協定を締結しました。

本協定の具体的な取り組みは下記の通りです。

  1. 1. 次世代の女性リーダーとなる若年層の育成
  2. 2. 各組織で指導的地位を担う現役女性リーダーの能力開発
  3. 3. 人財交流

2019年4月からは次世代女性リーダーの育成を支援する「未来起点プロジェクト」が発足しました。「未来起点プロジェクト」は、お茶の水女子大学に開講した社会連携講座「未来起点ゼミ」を軸に推進します。お茶の水女子大学と互いのリソースを活用し、意見を提示・交換して授業内容を検討する点に特徴があります。

中国・アジア大洋州地域

女性のエンパワーメント推進

BSCAPでは、すべての従業員にそれぞれの役割に期待される能力を発揮する機会を提供することを促進しており、その中でも、女性管理職比率については2022年末までに20%にすることを目標に掲げて取り組んできました。そして、上表に示されている通り、BSCAPは2022年にこの目標を達成しました(マネジメントポジションとジュニアマネジメントポジションで22.8%)。BSCAPの地域本社であるシンガポールでは、最も高い30%、中国では25%となり、結果としてBSCAPグループ会社13社中8社において20%を超える女性管理職比率を達成しています。

採用と人財獲得におけるダイバーシティ&インクルージョン:女性管理職比率

BSCAPグループ各社は、様々なプログラムや取り組みを継続的に実施し、各国の労働市場で女性人財の獲得に力を入れています。

  • ベトナム:生産現場での就業者の女性比率を、2015年の0%に対して2022年には30%に向上。
  • オーストラリア・ニュージーランド:タイヤ業界における雇用機会を促進するため、積極的な募集・採用キャンペーンを展開。社員アンバサダーが自身のキャリア経験談を共有することで、女性タイヤ技術者の雇用を促進。
国際女性デー(International Women's Day:IWD)

BSCAPは、2019年から国際女性デー(IWD)活動を開始し、域内10か国でより体系的かつ一貫したアプローチを通じて啓発活動に取り組んでいます。また、女性のエンパワーメントと功績を称え、ジェンダー平等への継続的なコミットメントを示すためのガイドラインを発行しました。女性の社会的、経済的、文化的、そして政治的な功績を称えるため、全世界で産業界、政府、教育機関、地域団体に支持されているIWD活動へのBSCAPにおける参画は、ジェンダー・イコールの社会実現に寄与するため、女性に関する課題への認識を高めるというミッションの一環でもあります。

BSCAP の従業員が参加したIWD 啓発ポスター

障がい者雇用の推進

当社グループは2021年3月に、「The Valuable 500」の主旨に賛同し、加盟しました。「The Valuable 500」は、2019年開催の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で提唱されスタートした世界的な活動です。障がい者がビジネス、社会、経済における潜在的な価値を発揮できるように、ビジネスリーダーが自社の事業を改革することを目的とし、世界500社の最高経営責任者(CEO)の賛同を得ています。多様性を尊重しインクルージョンを推進する「The Valuable 500」の考え方は、当社グループの企業理念と共通する点が多くあり、「グローバル人権方針」で目指す方向性とも合致するものです。

「The Valuable 500」の考えを世界の他のリーダーと共有し、障がいのある従業員が力を発揮できる多様な職場づくり、地域社会や戦略的パートナーとの共創による心身の健康を促進するインクルーシブな社会づくりへの貢献など、ダイバーシティの取り組みを強化していきます。

地域別の取り組み

日本

当社では障がい者雇用を目的とした特例子会社「ブリヂストンチャレンジド株式会社」を2004年に設立するなど、障がい者雇用を積極的に推進しています。また、当社及び国内グループ会社16社合計で法定雇用率を達成することを目標に、計画的な雇用を推進し、全16社合計で、2023年1月時点の障がい者雇用率は2.75%となっています。

ブリヂストンチャレンジド株式会社は、スタート時、障がいのある従業員7名とスタッフ5名でしたが、グループ内で業容を拡大し、2023年1月時点では障がいのある従業員199名、スタッフ60名にまで活動が広がっています。

同社の本社(東京都小平市)及び分室(名古屋市・市川市・横浜市・東京都中央区・那須塩原市・上尾市・甘木市・彦根市)では、

  1. 1. 地域社会との共生
  2. 2. ブリヂストン従業員との共生
  3. 3. 障がいのある従業員が社会で自立できる環境づくり

の基本理念の下、周辺地域の障がい者雇用関連団体と密接に交流しつつ、各従業員が「実現したい目標」を毎年立てて挑戦するなど、一人ひとりがいきいきと働ける会社を目指しています。事業内容としては清掃業務、販促物や名刺印刷、メール便の集配・発送業務を行っています。また、2011年4月、障がい者の就労と自立による社会参加支援を目的に、彦根工場に職業教育訓練校「働き教育センター彦根」を開設しました。このセンターは学校法人関西福祉学園が運営を行っており、2年間の教育訓練期間中に基礎知識や社会人としてのマナーなどを教育するとともに、彦根工場での現場実習も行っています。2023年2月までに、修了生20名を彦根工場にて採用しています。こうした取り組みをさらに推進し、障がい者雇用を拡大することで、誰もが安心して働き続けられる共生社会の実現に寄与していきます。

※ ブリヂストンの特例子会社制度のグループ適用となる国内グループ会社16社(2023年1月時点)

中国・アジア大洋州地域

BSCAPでは、ダイバーシティの価値を謳う「行動規範」に従い、誰もが出身や経歴にかかわらず公平な機会を享受することができる、インクルーシブな文化を醸成するという、当社グループのコミットメントに基づき、従業員一人ひとりが、仕事においてよりインクルーシブな環境を実現するために行動を起こすことで、ビジネスや企業活動を通して社会における変化を生み出しています。

社内及び社外でのエンゲージメント
政府からの表彰を受ける女性従業員(ベトナム)

BSCAPは、社内及び社外でのエンゲージメントの一環として、多様な人財を受け入れる多様性を尊重した職場づくりを目的とした、様々な活動を行っています。タイでは、地域社会で障がいを持つ人々のエンパワーメントに注目し、インクルージョン実現の目的と成長に向かって取り組んでいます。すべての人が自分らしい毎日を歩める社会づくりに貢献することを目指しています。

給与の公平性の確保

当社グループは、人財戦略の軸である「多様な人財が輝く場づくり」を進める上で、その基盤として、給与の公平性を確保するとともに、その報酬制度は、地域別・国別の労働市場動向を踏まえ、各市場での競争力のあるものとなるよう設計しています。

当社の報酬制度は、「役割や職務」「能力」「成果や成長」に応じて設計されており、従業員の属性による報酬制度上の違いはありません。報酬水準は、日本の社会動向等を踏まえ、市場での競争力を確保するため外部の市場データを活用し、毎年給与改定をその要否を含めて検討、労働組合に所属する従業員の給与については、毎年春にブリヂストン労働組合と労使交渉を行い、その妥結に基づき給与改定を行っています。なお、男女間の賃金差異に関しては、職種間や基幹職比率等において人財ポートフォリオの偏りに男女差があり、それに伴う差異が生じていますが、女性基幹職比率の向上など、人財ポートフォリオの偏りの改善に取り組んでいます。

BSAMの報酬制度では、国及び州や地域の法的要件を遵守し、短期・長期の事業目標の達成を可能にする従業員を引き付け、モチベーション向上を促し、雇用の維持を図っています。BSAMは、求人プロセス、年次報酬の設計・手続き、および定期的な社内レビューを通じて、給与の公平性を確保しています。外部の市場データを活用して、競争力のある給与体系を評価・設計し、毎年更新しています。さらに、短期・長期のインセンティブについては、ビジネスニーズを満たし、競争力のある総直接報酬を提供するために活用されます。これらの制度は、BSAMの取締役会の指名・報酬委員会により毎年見直されたうえで、承認されます。給与及び手続は、時間給従業員の労働団体と団体交渉協定によって規定・運用されています。

BSEMIAの報酬制度では、市場原理に基づく業績連動型報酬制度を採用しています。この制度は、ブリヂストングループが将来の成長に向けて必要な優秀な人財を採用し育成することを目的とし、基本給、短期・長期の変動給、適切な福利厚生制度等が含まれます。外部の市場データを収集し現地での参考値を取得することで、適切なプログラムを提供できるようにしています。公平性については、BSEMIAの従業員からなる労働組合との労働協約を締結し、BSEMIAが事業を行う国の規制を遵守しており、さらに報酬チームが毎年行っている公平性検査によって確保されています。検査の結果は、BSEMIAの取締役会の指名・報酬委員会で共有されます。

BSCAPの報酬制度は、適財適所の人財を惹きつけ、モチベーションを高め、定着させることを目指しています。主要な報酬制度は、基本報酬及び短期・長期のインセンティブで構成され、個人及び会社の業績達成に向けて従業員のインセンティブとモチベーションを高めるよう設計されています。年次の市場レビューを定期的に実施し、報酬制度の競争力を確保しています。また、本制度は、BSCAPの取締役会の指名・報酬委員会により毎年見直され、承認を受けています。BSCAPでは、性別に関係なく、従業員の経験、スキル、市場競争力、市場特有の条件、現地法令、成果などの要素を考慮することで、従業員の報酬の公平性を確保しています。労働組合の組合員である従業員については、労働協約に記載されているその他の条件が適用されます。

当社のDE&Iに関するその他制度・データ(日本)

女性活躍推進法に基づく第2期行動計画

当社は従来から女性従業員の活躍に関する取り組みを進めてきましたが、女性活躍推進法の制定を受け、さらなる女性活躍推進に向けて一般事業主行動計画を策定し、これに基づいた取り組みを推進しています。

計画期間 2021年1月1日 ~ 2025年12月31日
目標
  1. (1)女性基幹職比率を2025年までに7.5%とする
  2. (2)タスク管理を推進する下、全社員の労働時間の上限を250時間/月とする
取組内容と実施時期

下記取り組みを1年ごとに評価し、次年以降の取り組みへ反映させるPDCAを回す

  1. (1)女性社員の育成及び基幹職登用の支援策実施
    ~2021年第1四半期、検討・トライアル、2021年第2四半期、実施・制度化
    1. 1. メンター制度などの支援策導入
    2. 2. 登用予定者上司への研修
    3. 3. 基幹職登用促進プログラム継続
  2. (2)タスク管理推進下の生産性向上施策実施
  3. (3)多様な人財活用の職場環境整備
スクロール

育児との両立支援の取り組み

事業所内保育施設
(ころころ保育園)

当社では、各種育児支援制度を設け、介護支援と合わせた「育児・介護ガイドブック」や社内報による情報発信を行なうとともに、実際に、育児休職を取得する予定の従業員に対して定期的にガイダンスを行っています。また、従業員や管理職を対象とする育児休職からの職場復帰に向けたセミナーを開催し、休職中や復帰後も従業員を継続して支援できる職場環境づくりに取り組んでいます。なお、2022年10月に男性の育児休職取得推進を目的に出生時育児休職制度を設け、本制度の活用を通して男性の育児に参画しやすい環境整備を推進していきます。

当社は、「多様化推進に向けた労働環境整備」の一環として、事業所内保育施設の設置や外部施設のマッチング支援も行っています。

  • 2008年 小平地区に事業所内保育施設「ブリヂストン小平保育園(愛称:ころころ保育園)」を設置
  • 2009年 「ブリヂストン小平保育園」の利用対象をグループ会社従業員にも拡大、東京都内の事業所内保育施設では最大規模へ
  • 2013年6月 社外保育施設と提携し、本社地区従業員を対象とした支援開始
  • 2015年7月 横浜地区にも事業所内保育施設「ブリヂストン横浜保育園(愛称:とことこ保育園)」を開設
  • 2019年4月 とことこ保育園を新園舎に移転、企業主導型保育園へ運営形態を変更し、定員を60名に拡大
  • 2022年 企業主導型保育所マッチングサービス「子育て未来コンシェルジュ」を導入、その他地域での保育環境支援を充実化

介護支援との両立支援の取り組み

当社ブリヂストンでは、外部の有識者を招いた介護講演会、育児・介護ガイドブックの発行など、介護に関する啓発活動を行っています。

2017年1月には介護支援制度を改定し、介護のための所定外労働免除を新たに設けるなど、従業員の仕事と介護の両立支援をさらに進めています。2018年より、外部の有識者による「介護セミナー」を全従業員向けに、2019年からは組織単位長向けに開催し、本人及び部下の「介護と仕事の両立」に関する知識の付与を行っています。介護当事者同士の交流の場として介護カフェを定期的に実施しています。また、既に介護に直面している従業員や、将来に対しての不安がある従業員を対象に個別相談の機会を設け、早期課題解決につなげています。

具体的には、当社(日本)では以下のような各種制度を導入しています。

  2019~2022年取得実績
(単位:人)
  2019 2020 2021 2022
育児休職 主たる育児者であるかどうかを問わず、子どもが満1歳6か月に達した後、最初に到来する3月末まで(4月末まで延長可)、または子どもが2歳に達するまでのどちらか長い方。保育所に入園できないなどの場合は、最長で子どもが2歳7か月になるまで休職できる制度 男性   25 30 42 86
出生時育児休職 - - - 10
育休取得率※1 3.5% 4.4% 12.2% 15.6%
女性   71 58 52 51
育休取得率※1 97.3% 100% 98.1% 100.0%
合計 96 88 94 147
配偶者出産時の休暇 配偶者出産時に5日まで取得可 男性 301 298 286 318
女性 - - - -
合計 301 298 286 318
育児休暇 3歳までの子どもを養育する場合に保存年休※2を最大40日まで取得可 男性 60 87 84 124
女性 29 38 27 38
合計 89 125 111 162
看護休暇 子どもの怪我、病気、予防接種、健診などの理由で年間10日/1人で取得可。付与された休暇は半日単位でも取得可能なほか、与えられた日数の半分については1時間単位で取得可 男性 225 199 212 273
女性 210 201 185 192
合計 435 400 397 465
介護休職 従業員の配偶者や、本人の直系もしくは傍系の親族の介護が必要である従業員が、退職せずに介護にあたれるようにする制度。通算365日分割取得可 男性 1 2 0 3
女性 0 0 3 3
合計 1 2 3 6
介護休暇 介護休職の取得要件を満たす場合、年間10日/要介護者1名で取得可。付与された休暇は半日単位でも取得可能なほか、与えられた日数の半分については1時間単位で取得可 男性 20 18 18 23
女性 29 38 37 38
合計 49 56 55 61
介護保存年次休暇 介護休職取得要件を満たす場合に保存年休※2を最大40日まで取得可 男性 13 8 9 8
女性 1 2 2 2
合計 14 10 11 10
短時間勤務 1日最大3時間所定労働時間を短縮できる制度
育児:従業員の子どもが中学校就学の始期に達するまで
介護:取得事由が解消するまで。
その他妊娠期間中も利用可
男性 4 1 2 5
女性 148 142 133 137
合計 152 143 135 142
ファミリーサポート休暇 家族看護、子どもの学校行事、妊娠後の体調不良、不妊治療のために保存年休※2を利用し年間5日取得可 男性 162 180 176 231
女性 119 108 92 111
合計 281 288 268 342
ボランティア休職 ボランティア活動のために最大で3年間休職できる制度 男性 2 2 0 0
女性 0 0 0 0
合計 2 2 0 0
ボランティア休暇 ボランティア活動のために保存年休※2を利用し年間5日取得できる制度 男性 12 2 11 7
女性 6 1 3 1
合計 18 3 14 8
配偶者海外転勤休職制度 配偶者の海外転勤への帯同を理由に最大で5年間休職できる制度
(2022年1月に休職可能期間を3年から5年に改訂)
男性 1 1 1 1
女性 14 11 8 9
合計 15 12 9 10
ウェルカム・バック制度 育児、介護、配偶者の転勤への帯同などで退職した従業員が再入社できる制度
2009年11月からの再入社実績(累計)
男性 1 1 2 2
女性 13 15 15 15
合計 14 16 17 17
テレワーク制度 従業員が自らの意思で勤務地以外の就労場所を選択する働き方 男性 1,443 4,556 5,066 5,074
女性 557 1,139 1,231 1,209
合計 2,000 5,695 6,297 6,283
裁量労働制 「仕事の仕方」「時間配分」を従業員の裁量に任せ、労使で定めた時間を労働したものと見なす制度
フレックスタイム制度 コアタイムを10:00~14:00とし、従業員が勤務時間を柔軟に運用する制度
ライフプラン休暇・研修 20年以上勤続し、規定年齢に達した従業員を対象に、退職後の再就職や事業開始の準備を支援する制度
「ライフプラン休暇」では最大6か月まで有給休暇を取得可能
「ライフプラン研修」制度では、社外の研修に参加した場合に最大50万円の費用補助
自律型キャリア開発休職 自らの意思で学術機関における修学を希望する従業員が最大3年間休職できる制度
出産後の育児時間 満1歳に達しない乳児を育てる女性従業員の請求があった場合、所定休憩時間のほかに、1日2回、各々30分ずつの育児時間を与え、その時間は就業したものとして取り扱う制度



育児支援サービス利用料補助 ベビーシッター・ファミリーサポートサービス利用の際、対象児童1人あたり年間75,000円以内の実費補助
(給付期間は1/1~12/31の1年間)(2021年1月より、利用日数の上限を廃止)
育児休職者生活補助 育児休職期間中、月額20,000円支給
出産サポート 本人または配偶者が出産した時、出生児1人につき50,000円支給
生活支援サービス利用料補助 介護や妊娠・出産などを理由に登録団体のサービスを利用した場合、1日につき5,000円以内の実費支給
介護休職者生活補助 介護休職期間中、月額20,000円支給(無扶は月額10,000円)
スクロール
  1. ※1育休取得率=育休開始者÷出産者(配偶者出産者)×100にて算出。男性取得率には出生時育児休職取得人数を合算。
  2. ※2失効した年次有給休暇を就業規定で定められた育児や介護などの目的に限り取得できる休暇。