月面探査機に装着するタイヤって?ラクダとの意外な関係性とは

月面探査機に装着するタイヤって?ラクダとの意外な関係性とは

1969年アポロ11号が月に着陸した50年後、日本でも月面探索プロジェクトが立ち上がりました。今回は月面探査機(月面ローバ)に装着されるタイヤについてご紹介します。

■ 国際宇宙探査ミッションへ挑戦
ブリヂストンは、2019年4月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)、トヨタ自動車株式会社と共に国際宇宙探査ミッションへ挑戦することを発表しました。
(参照:ニュースリリース「JAXA、トヨタともに、国際宇宙探査ミッションへの挑戦」)
月面で使用される「有人与圧ローバ」(月面ローバ)のタイヤ開発を担っています。

■ タイヤの4つの機能
そもそもタイヤにはどのような役割があるのでしょうか。

タイヤの4つの機能

タイヤには4大機能というものがあります。
①車重を支える ②駆動力・制動力を伝える ③方向転換・維持する ④衝撃を和らげる の4つです。
車両にとって、タイヤは唯一路面に接地している部品であり、上記4つの機能が備わっていないと、車両としての機能を発揮できません。

■ 月と地球は環境が違う!?

月と地球は環境が違う!?

月面ローバが走行するであろう環境を地球と比べてみました。

地球
重力 地球の1/6
大気 なし
外気温 -90~60℃ -170~120℃
路面 主に舗装路 主に砂(オフロード)
宇宙線 きわめて多い

このように、月面ローバは私たちが普段乗っている車とは大きく異なる環境で使われることになります。

■ 月に必要なタイヤってどういうタイヤ!?
月面ローバのタイヤ開発には以下のような課題があります。

  • 外気温の差が大きいので、高温では柔らかく、極低温下ではゴムは硬く脆くなるため使えない
  • 大気で守られていない月面では、宇宙線と呼ばれる高エネルギーの粒子が降り注ぐのでゴムが短時間で劣化する
  • 砂(レゴリス)で覆われているので、タイヤがしっかりと地面を掴んでグリップ力を発揮することが難しい
  • 角ばった大きい岩や石が多く、走行中にタイヤの表面に外傷(キズ)を受けやすい

そこで、ブリヂストンが現在検討しているタイヤをご紹介します。

■ 「ラクダ」や「ダチョウ」と意外な接点が・・・

「オール金属」製のタイヤ

大きな特長は、「オール金属」製のタイヤであることです。
月面の大きな外気温差と宇宙線に耐えるにはゴムよりも金属のほうが適しています。

「ラクダ」や「ダチョウ」と意外な接点が・・・

また、タイヤが月面の柔らかい砂に埋まっても動けるように通常のトレッド部(接地部)だけでなく、サイド部でも砂を掴んでグリップ力を発揮できるようになっています。
このふっくらとした形状は砂漠を軽々と歩行することのできる「ラクダ」や「ダチョウ」の足の形状にヒントを得て思いついたものです。

※ ちなみに当社のスタッドレスタイヤも生き物(しろくまやヤモリ)から着想を得ています

このタイヤは、東京モーターショー2019のブリヂストンブース(東京ビッグサイト)とFUTURE EXPO(MEGA WEB)にて展示されています。

また、東京モーターショーの当社ブースにて、2019年10月26日(土)の11時30分から、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の渡辺英幸さんと、当社技術スポークスパーソンの原とのトークセッションもありますのでお見逃しなく。

ブリヂストンは、1931年の創業より社会の役に立つ様々な「創造」に積極的に挑戦してきています。「最高の品質で社会に貢献」を使命として、多くのお客様に質の高い製品・サービスを提供しています。今後もイノベーションと先進技術の挑戦を通じて、新たなモビリティの実現に貢献していきます。

Follow Us
  • FacebookでBridgestone Blogをフォロー
  • XでBridgestone Blogをフォロー
  • Youtubeをフォロー
Share
  • Facebookで共有
  • Xで共有
  • lineで共有
  • はてなブックマークに登録
  • technology_innovation_512×148